レーザー加工は様々なサイズの加工に加工条件の変更だけで対応できるため、試作・少量多品種生産から量産まで幅広い加工技術として、その可能性に期待が高まっています。
レーザーの基礎知識
レーザー Laserとは
「輻射の誘導放出による光の増幅」の頭文字をとったもの
特定の物質(媒質)にエネルギーを与えた時に出る光を
合わせ鏡などで反射・増幅し、強い光を取り出す装置のことです。
レーザー光の特徴とは
自然光を含めた一般的な光の特徴
- 光源から四方八方へと広がっていく
- いくつもの波長の光が混じりあっている
- それぞれの光の波長は位相(光の波の山と谷)が一致しない
一方、人工的に造られたレーザー光は...
レーザー光の特徴
- 光源から特定の方向へ発する(指向性・直進性)
- 一つの波長のみを持つ(単色性)
- 位相(光の波の山と谷)が一致している(可干渉性)
- エネルギー密度が高い
これらの特徴を活かして...
集光レンズ等を用いてレーザー光をまとめて、さらにエネルギー密度の高い光とし、これを材料に照射することで材料の穴加工、切断などを行うことができます。
レーザー加工は金属、セラミック、ガラス、木材、皮、布など様々な素材の加工に使用されていて、最新の医療分野でも利用されています。
レーザーの特性を活かし、微細加工の可能性を追求する
非接触加工
硬いドリルを直接加工対象(ワーク)に当てて加工するドリル機械加工は加工時にクラックやゆがみが発生しやすくなります。しかし、光を小さなエリアで高いエネルギーにしてワークに照射、蒸発加工する非接触のレーザー加工ではワークへの機械的な負荷がなくなります。そのため、変形しやすい薄板加工にも適しています。
加工自由度の高さ
より微細な加工を行うためには加工点(スポット径)をどれだけ小さくできるかが鍵となります。
レーザー加工では、発生させた光を集光レンズを使って、より小さな加工点(焦点スポット径)にしています。
その大きさは波長、レンズの焦点距離などを選択、調整することで、数μmレベルの加工を実現できるまで絞ることができるのです。
加工点を非常に小さく絞り、自由に動かせるレーザー加工では大小さまざまな正方形や長方形は勿論、直線や曲線の混在した異形穴まで多彩な微細加工が可能です。波長ごとの加工特性
レーザーにはその種類によってさまざまな波長があります。その波長の選択により樹脂から金属、セラミック、ガラス等さまざまな材質への加工が可能となります。また、短波長になるほど加工点(スポット径)を小さく絞ることができるため、ワークに熱負荷を与えにくく、より微細な加工が可能となります。
ドライプロセス
機械加工ではドリルをワークに当てる際、潤滑油などが必要となりますが、レーザー加工では不要です。そのため、ドリル機械加工よりもワーク材質の選択幅が広がり、ワークに負荷がかかりません。
廃油処理の必要もなく環境にとても優しいプロセスです。熱加工
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レーザー加工では熱でワークを瞬時に蒸発させます。そのためドロスや飛散物がワークにつきやすくなります。また、加工周辺部は熱がかかり、脆くなりやすかったり、クラックが入りやすかったりします。
熱影響の最小化
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熱加工プロセスであるレーザー加工での微細加工をより高精度にきれいに仕上げるため、材料に熱による負荷を極力かけないよう断続してレーザー光を照射する(パルス化)ことができます。
このレーザー光を断続して照射する時間(パルス幅)は短ければ短いほど、その瞬間のエネルギーは高くなる一方で、材料への熱影響は少なくなります。
わたしたちが行う最も微細な加工では超短パルスレーザーを使用し、熱影響を極力小さくして超微細加工を実現しています。ピークエネルギーはパルス幅に反比例
テーパーの発生
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光である特性上、レーザー加工ではレーザーの入射側の加工径よりも出射側の加工径が小さくなる(テーパーがつく)ことが残念ながら避けられません。
テーパーレス
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レーザー加工ではテーパーがつくのは宿命ですが、わたしたちは特殊な光学系を組み合わせることによりテーパーレス加工を実現しています。
脆性材料への対応
レーザー加工ではさまざまな材質の加工が可能です。わたしたちはレーザーの特性を上手く組み合わせることにより、ワークへの負担を極力小さくし脆弱な材料でも適正な加工を可能としています。
レーザーの特性を活かして微細加工の
さらなる可能性を追求し続けます